誰かに話を聞いてほしいと思ったとき、真っ先に浮かぶのが「でも、自分の過去を言ったら終わりだ」という考えだとしたら。
相談窓口の入口で、名前と連絡先を書く欄を見て、手が止まったことがあるかもしれません。前科があること、服役していたこと、そこにいた世界のこと。話せば引かれる。通報されるかもしれない。だったら黙っているしかない——そう思って、誰にも言えないまま過ごしている方に向けて、この文章を書いています。
ここでは、あなたの過去について何かを判定することはしません。
「普通の場所」で相談できないという壁
過去に法に触れることをした経験がある方が、生活の悩みを誰かに相談しようとするとき、いくつもの壁があります。
役所や支援機関には、記録が残るのではないかという不安がある。友人には言えない。家族とはもう連絡が取れないか、いちばん知られたくない相手だったりする。職場では、当然言えない。
誰かとつながりたいのに、つながろうとするたびに、過去を説明しなければならない場面が来る。その説明のたびに、相手の表情が変わるのを見てきた方もいると思います。
そのうち、説明するくらいなら黙っていようと決めて、ひとりになっていく。
それは、あなたが人とつながる努力を怠ったからではありません。何度も試して、そのたびに閉じた扉を見てきた結果として、そうなっているのだと思います。
「もう終わったこと」と言われても、終わっていない
刑期を終えても、保護観察が明けても、自分の中では何も終わっていない、という感覚を持つ方は少なくありません。
周りから「もう済んだことだ」「これからだよ」と言われるほど、自分だけが取り残されているように感じることもあります。反省しているかどうかと、自分を許せるかどうかは、別の話だからです。
今、自分を許せていなくても構いません。
許せるようになってから来てください、とは言いません。
教会は、過去を問いません
アドナイ・エレ教会の懺悔室では、あなたが何をしてきたかを申告する必要はありません。話したければ話してもいいし、話さないまま別のことを話しても構いません。
ここは取り調べの場所ではないので、事実確認をすることもありません。信仰があるかどうかも問いませんし、教派も問いません。クリスチャンでない方のほうが、むしろ多くいらっしゃいます。
相談は無料で、お金はかかりません。オンラインでつながるので、どこかへ足を運ぶ必要も、誰かに顔を見られる心配もありません。
「すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう。」
(出典:マタイによる福音書 11:28・口語訳)
この言葉には、条件が書かれていません。過去にこういうことがあった人は除く、とは書かれていない。重荷を負っている、それだけで足りると読める言葉です。
ただ、これをあなたに信じてくださいと言うつもりはありません。今は、そういう言葉があるらしい、という程度に置いておいてもらえれば十分です。
何を話せばいいか分からなくても
「相談することが特にない」「ただ、しんどいだけ」という状態でも構いません。
用件がなければ話してはいけない、という決まりはありません。仕事のこと、住むところのこと、眠れないこと、昔のこと。何から話しても、途中でやめても大丈夫です。
公的な窓口も、あわせて知っておいてください
教会にできることには限りがあります。住む場所や仕事のことなど、制度の力が必要な場面では、公的な窓口のほうが確実に動けます。
✚ 犯罪・非行の地域相談窓口「りすたぽ」
保護観察所が行っている相談窓口です。刑務所等を出所した方や保護観察を受けていた方、そのご家族や支援者の方などが相談でき、必要に応じて関係機関との調整もしてもらえます。相談は無料で、受付は月曜日から金曜日の午前9時から午後5時まで(祝祭日を除く)。全国共通の番号はなく、お住まいの地域の保護観察所が窓口になります(法務省のサイトに一覧があります)。
✚ 帰る場所がないとき
更生保護施設や自立準備ホームという仕組みがあります。帰るべき住居がない方が、一定期間、宿泊場所や食事などの支援を受けられるものです。対象や利用の条件が決まっているため、まずは保護観察所にご相談ください。
こうした窓口と教会は、どちらかを選ぶものではありません。制度は制度として使いながら、そこでは話せないことを、こちらで話してもらえればと思っています。
過去のことで誰にも言えない苦しさを抱えている方は、懺悔室から声をかけてください。誰にも言えない感情や、人に言えない過去を抱えるという点では、「親を殺したい」と思う自分を責めるあなたへ、パパ活・援交をやめたい・やめたくない夜に、夜職を辞めるか続けるか迷う夜にという記事でも、近いことを書いています。
※「死にたい」「消えてしまいたい」など命に関わるお悩みは、専門の相談窓口へ連絡することも大切です。よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料)、いのちの電話 0570-783-556 など、公的な相談窓口もあわせてご利用ください。教会はその上で、心の支え・対話の場として並走します。
✚ 話を聞いてほしいだけでも歓迎です
アドナイ・エレ教会はオンラインで無料の懺悔室をお開きしています。
教派・信仰の有無は問いません。教会へ来られない方も、画面越しでお話しできます。
活動を支えてくださる方は献金・寄付のページもご覧ください
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